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普段は目の前に広がる山を遠回りして普通の道を通って帰宅していたが、この山の山道を一直線に行けばかなり時間を短縮出来る事を少年は知っているからだ。
「……」
しかし街灯の微かな灯りすらない暗闇、怖がりな方ではない少年も流石に躊躇いを覚えてしまう。
「……うーん。行くか」
ビビっていても仕方がない、と少年は山道を行く事にした。
――――――――
ホーッ。ホーッ。
「……やめときゃ、良かった」
不気味に聞こえる梟の鳴き声、月明かりだけを頼りに少年は山道を走っていた。
走れば十分程で山から出れる筈だからである、少年は一刻も早くこの山から出たくなっていた。
しかし途中、少年は気付くのであった。
――後ろに人の気配がする事に、少年はそれを振り切ろうと必死になっていたがむなしくも全く意味がなく、振り切れる気がしない。
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