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大和はじりじりと、僅かにづつではあるが信長から距離を取り始めた。
信長はそんな大和の様子を黙って見ていたが、ふと空を見上げた途端に険しい顔つきになった。
「…時間がないな」
「――へっ?」
すると信長は腰に差していた鞘から刀を抜き取った、そして鋭利な刀の切っ先を大和に向ける。
大和は驚きのあまり凶器が向けられていると云うのに、呆けた声になった。
「すまないね…これは私の身勝手、許してくれとは言わないよ」
「えっ?はっ!?――ちょっ、まっ!!
――――ズバッ!!
「ッ!!」
大和は逃げようとしたが、信長は問答無用で逃げようとする大和の背を斬りつけた。大和は痛みのあまりそのままうつ伏せに倒れて意識を失ってしまった。
「…日ノ本を頼んだよ、大和――…
白装束を着た信長は意味深な事を言い残すと、そのまま夜の闇にへと溶け込んでいった。
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