2.『麻雀放浪記』 阿佐田哲也

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2.『麻雀放浪記』 阿佐田哲也

 このエッセイで紹介するにはあまりにも有名過ぎる作品だが、漢である以上、この作品は欠かせない。  ”麻雀の神様” 阿佐田哲也の自伝的小説だ。  主人公 ”坊や哲” は、多分に脚色はあるにしても、おそらく若き日の作者の姿であろう。  ”ドサ健” や ”出目徳” などの個性的な脇役も、ほとんどモデルがいるらしい。  ドサ健や出目徳がもし生きていて、全自動卓全盛の今の麻雀界を見たら、仰天して戦意喪失するだろうか?  否。きっと彼等は彼等流の方法論(イカサマ含む)を見出し、今のデジタルな打ち手達を凌駕するに違いない。  博打の怖さも面白さも哀しさも、全てこの一作に詰まっている。  単に麻雀に留まらず、博打というものがどういうものか、その奥深さがこの一作でわかる。  『カ★イジ』を読んで博打をわかったつもりになってはいけない(笑)  (まぁカイ★ジは私も嫌いじゃないけどね。でも深さが違う)  夕食後に読み始め、夢中で頁をめくっているうちに4巻まで完読し、気がついたら夜が明けていた。  名作とはこういう読み方をされる小説を言うのだろう。  ちなみに、この麻雀放浪記は映画化されている。  真田広之の"坊や哲”はイマイチだが、加賀丈史の”ドサ健”は文句なしに格好良い。
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