序章 

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―半年前― 「おはようございまーす! 郵便でーす」 「おはよう、オストさん。今日も元気だねぇ……」 “エーヴィヒバンデ”と書かれた札がかかっている家から一人の男が出てきて、郵便屋の少女から手紙を受け取る。 彼の名は『ムート』。この街のギルドに所属するパーティ『エーヴィヒバンデ』のリーダーだ。 パーティはそれなりに腕も良く、有名で彼自身もいろんな人から慕われている ……らしい。眠り眼(ねむりまなこ)をこすりながら、手紙を開ける姿からは、全く想像ができない。 ムートは、手紙を読みながら家の中に入っていった。いくつか依頼書もあるなと思いながらなんとなく飛ばし読みをしていく。その中で1つの依頼が目に止まった。 「生体調査……。うわぁ、めんどくさい。……っていうか場所、アバウトすぎるだろ…」 心底、嫌そうな顔をして呟く。 依頼をめんどくさいという男が本当にいろんな人に慕われているようなすごい人間なのか、と疑いたくなる。
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