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「…あっ…………」
貴方の指が触れるだけで、全身に微弱な電流が流れる。
月の出ている今だけ、私は貴方を独り占めできる。
『キミの声が僕を興奮させるんだよ』
静かすぎる部屋に貴方の声が響く。
優しく私の肩を撫でる貴方。
その指は滑るように肩から背中へと……。
「…ん……っあ……ん……」
唇から溢れそうになる吐息に似た何かを我慢すれば、貴方は私の肩に口付けをした。
『あんまり声を出すとバレちゃうよ』
貴方は嬉しそうにそう言いながら指の腹で私を撫でる。
『今夜は美しい月が出ているよ。ほら、そとを見てみれば?』
意地悪くそう呟くように貴方は言う。
私は月どころじゃない。
貴方の指に我を忘れて、耐えるように声を押し殺すしかないのに。
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