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『あ、急患だって。続きは後でね』
「はい、先生」
貴方は着衣の乱れを簡単に直し、当直室を出て行った。
私は身体の中に立ち込める熱を無理に押し込め、着衣を身にまとう。
先ほど、持ってでたカルテの束を両手に抱え、ナースステーションに戻れば、夜勤の看護士たちが、救急車を迎える準備をしていた。
「岩月さん、月野先生のご指名よ」
「はい、分かりました」
カルテの束をデスクに置き、救急車が到着する入口へとむかう。
私の向かう先には貴方の背中がある。
『岩月くん、宜しく頼むよ』
さっきと同じ笑顔を私に向ける貴方。
「はい、宜しくお願いします。月野先生」
end
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