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『ナオキ、悪いんだけど…』
『ナオトさん!』
さすがに今回ばかりは素直に頷くわけにいかない。
酔った彼女を俺にまかせるなんて…
『ナオキ、頼むよ』
『ナオトさん…』
おどけた表情を作ろうとしてるけど、辛いんだってわかってしまう。
『…分かりました』
ナオトさんだって本当は彼女と一緒にいたいと思ってる。
でも、断わることのできない誘いがあるのは俺にも分かるから…
ナオトさんはキーチェーンから鍵を一つ外して俺に渡した。
『乃亜んちの鍵…乃亜に渡してくれればいいから。後でこいつの住所メールするわ』
ナオトさんはそう言って立ち上がった。
『本当にわりぃな…』
俺は何も言えなかった。
『また…怒らせちゃうな…』
ナオトさんは彼女の頭を撫でると部屋から出ていった。
俺はその背中をもやもやした気持ちで見送ることしかできなかった。
彼女はまだ眠ってる。
こんな状態の彼女を置いていくなんて、ナオトさん、どんな気持ちで…
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