家族のために

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今年で45歳となるオッサンがニコニコと笑みを浮かべて見つめてくる。まぁ45歳といっても見た目は30歳そこそこにしか見えない。 「父さん、何の用?」 このオッサンは俺の父親だ。父さんは目をうるうる潤ませてきた。 「陸斗君、パパの頼みを聞いてくれないか?」 パパって……、一生の願い……、息子を君付けする父さんは引きぎみの俺の手をぎゅっと握ってくる。 「た、頼みって何?」 「夕柳(ユウヤナギ)学園に行ってほしいのだ」 「――は?」 夕柳学園、そこは俺の母校でもあるが少し変わった校風があった。 「何でアソコに行かないと行けないの?」 出来れば二度と関わりたくない。 「実は……、学校崩壊の一歩手前らしくてな。また強姦も増えたとか……」 “強姦”その単語に眉がピクリと動いた。 「どういうこと? 俺が頑張って無くした筈だけど?」 中等部から夕柳の生徒になり6年かけてなくしたのに、それが僅か5年で元に戻ったということなのか? 「それが……、実は……」 父さんは言いにくそうに俺から視線を外し明後日のほうを向いてる。 「何とかしてほしいなら教えてくれないと何も出来ないよ?」 「パパの末弟の息子が2週間前に夕柳学園に転入したんだけど、ちょっと……かなり問題がある子でな。その子のせいで学園が荒れてるらしい」 たった2週間で戻ったということか……。その元凶が身内。俺からしたら従兄弟にあたる人物になる。 「理事長は何してるの?」 理事長、父さんのすぐ下の弟で父さんの代わりに家業を就いた人。 「少し叱っただけで泣くみたいで……、な?」 “な?”と同意を求めらても困る。 「それで、俺からしたら従兄弟にあたるソイツはどうしたらいいの?」 元凶を取り除かない限り、何をしても無駄。 「出来れば更正させてほしい」 「無理だったら?」 「陸斗君がそう判断したなら……、処理は任せるよ」 だったら、受けてもいいかな?
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