第1章

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懺悔にはとても耐えられない。夜長の節に死を患って、仕方ないから共に添う。人の声絶えて、久しく思う頃になり、伸びた爪が恨めしく、伸びた鬚を調える。常に彼方に僕はいて、素直に孤独に甘んじる。絶えてしまえば耐えられない。夢を見れば儚く散って、更けない夜など狭苦しい部屋の中。腿が震えはじめ、募る苛立ちに増長する郷愁。過去に向かう自分がいて、未来に針は動いていく。胡乱な記憶で日向歩いて、首を振り、路面は妙に湿っていて、流風は痛く乾いていて、欲していたもの失われても心ばかりは失えぬ。自分は幾度となく死んでいる。家に帰り、毛布を被り、また夜まで眠ってしまおう。日没まで眠ってしまおう。
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