第1章

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明日なにしようか。仕事じゃなかったらどうしようか。服でも買おうか。散歩しようか。はたまた、神社でも見て回ろうか。それともやはり寝てしまおうか。イヤイヤ、とても自堕落だ。本を読もう。ニーチェを読もう。されば最良。疲労困憊と苦しまなければ。時期尚早と始めてしまえば、それは大変な無駄になるのだから。まずは準備だ。ニーチェを読んで苦しむ覚悟だ。ああイヤ待て。爪が伸びてる。切らなければ。爪切りを探そう。ふむ、あら、あれれ。どこ行った。爪切りが独りでに動くわけがない。しかし、失くした憶えはない。まあいい。もう遅い。不忠な爪切りは置いといて、明日、新しいのを買いに行こう。あ、ともすれば爪を切るのも明日になるのか。はあ、仕方ない。さて、歯を磨いて寝るか。今日は疲れた。眠くて死にそう。ふああ。む、なんだこの髪は。目茶苦茶にボサボサじゃないか。また、一週間も待てない。明日にでも散髪しよう。ああ、また莫迦みたいな用事が増えてしまった。まあ、仕方ない。久し振りにオシャレと決め込んで、隣町の美容室まで愛車で……ああああああああああああああ。 車検が切れてしまうんだった。丁度、来週の頭に。面倒くさがって行かなかったからだ。うわあ。時間なんてないじゃないか。休みなんて煩雑なだけで終わっちまうじゃないか。クソが。クソが。こんなんばっかりじゃないか。なにが将来を見越した忍耐だ。疲れて追われて終わりじゃないか。結局、そうじゃないか。追ってるんじゃない。常に追われてるんだ俺たちは。もう寝る。
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