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「紀香!ねえ、紀香ーっ!」
心地いい刺激に身悶えながら私は彼女の名を叫んだ。
「…気持ちいでしょ?由里」
部屋のクーラーのせいで空気が乾燥しているせいか少しかすれた紀香の声が耳元で囁くのが分かった。夢の中の話でも、それははっきりと聞こえた。
(ねえ何で?何で紀香にこんなことされなきゃいけないの?紀香は私のこと、好きだったの?愛していたの?私は分からない。紀香のこと、どう思っているかなんて。だって紀香のこと、あまり知らない。それに今まで喋ったこと無かったじゃん。なのに、それなのに紀香は私のこと、思ってくれていたの?)
本当はそう声にしたかった。でも実際声になったのは、興奮に揺れる甘ったるるくて言葉にはならない暑い叫びだった。夢の中の話でも、それは変わらなかっただろう。
「ごめんね?由里。私、ずっと由里のこと・・・」
その後の彼女の言葉は、絶頂に喘ぐ私の声にかき消されて聞き取れなかった。
でもその答えは言われなくても分かっていた。この体中を突き抜けるような快楽と、彼女の体温で…。夢の中の話でも、それは同じ。
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