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完全に意識を取り戻した私はアパートの部屋の布団の上にタオルケットも何も掛けないで横になっていた。ふと自分の足の先を見ると、寝る前には確かに掛けていたはずのタオルケットがくしゃくしゃになって丸まっているのが分かった。
そしてあのしゃんしゃんと言う音の正体は、外で泣いている熊蝉の声だった。
私は恐る恐る左手を枕元にある携帯に延ばした。
震える手でそれを掴むと、画面に表示された時間を見る。
6時15分。
朝だ。もう朝が来ている。と言うことは…あれはやはり夢だったのだろうか?
心臓の鼓動がまだ鳴っている。今日は彼とラブホテルに行く日だ。
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