夢の中の話でも

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紀香は高校時代の友人である。 小学校5年の頃からなぜか女子校に憧れを持った私は、中学卒業後隣町にある女子校に入学した。 隣町と言うことで、自宅からはずいぶん遠くバスと電車を乗り継がないと通学できない。そのバスも実家が田舎のため駅まで出ている便の本数が午前は6時代と7時代に1本づつ、午後は0で夕方は4時代に1本、夜は6時代と7時代にそれぞれ1本と少ない。 そのため朝はかなり早起きしなければ開始時間に間に合わないし、放課後に部活などをしていたら帰りが遅くなってしまうので私は寮に入ることにした。紀香は寮のルームメイトだった。 305号室。生まれて初めて家を出た私の住処は2年前に立て替えられたばかりだと言う板張りの洋室だった。 その部屋から仄かに香ってくる甘い香り…。 あれはたぶん紀香の使っているシャンプーか洗濯洗剤の臭いだろう。 それは今も覚えている。だって、夢の中で会った紀香の髪からも、あの香りがしたから…。
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