夢の中の話でも

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そこは改築したての寮の部屋とは一変して畳の敷かれた狭い和室でドアの立て付けも悪く、隣の住人の生活音が余すところ無く全て聞こえてくるぐらい壁が薄いとてもぼろいところだった。でもそこの大家さんが面倒見のよい人だったこともあってぼろくても暮らしている内にすっかり愛着が沸き、大学院生になった今でもそこに住んでいる。 友人の話によれば、紀香は高校卒業後「パティシエになりたい」と言う夢を叶えるべく調理系の専門学校に進み、現在は県内ではかなり有名な洋菓子店で修業中なんだとか。 そんな紀香と昨日夢の中で数年ぶりに再会してしまったのだ。
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