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さて三番です。
♪朝の祗王寺♪苔の道♪
♪心がわりを♪した人を♪
♪責める涙が♪ぬらすのか♪
このフレーズを正しく理解するには読解力を要します。
単純に歌を聴く、或いは唄うだけなら難しく考えることはありません。
苔の道とは、苔だらけの道ではありません。
祇王寺は苔むす庭園で有名なのです。
苔むす庭園を見ながら祇王寺へ続く道を歩むと読むのが正しい解釈です。
苔の庭園が朝露に濡れている。心変わりをした男を責める女達の涙が濡らしているのか。
このように読むのです。
これは祇王寺の歴史になぞらえた比喩表現なのです。
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」で知られる平家物語。
平家物語は鎌倉時代に成立した平家の栄華と没落を描いた軍記物語です。
平家物語に登場する、祇王(ぎおう)・祇女(ぎにょ)の姉妹は、美しい白拍子(しらびょうし)であった。
《白拍子とは、平安時代に流行した歌舞を演じる遊女》
美しい姉妹の噂は当時の政権を握っていた平清盛にも届いた。彼女達の舞を見て、後に姉の祇王は清盛の寵愛を受ける。
ある時、仏御前(ほとけごぜん)という若い女性が現れます。仏御前は門前払いをされてしまいますが、心優しい祇王は館へ招き入れました。
すると仏御前の舞を見た清盛は、なんと仏御前に心を移してしまったのです。
仏御前が祇王に遠慮すると、清盛は祇王を追い出してしまった。
暫く後に、歌舞を演じるよう再び清盛に呼ばれるのですが、祇王達は、意地と誇りをかけて、母である刀自(とじ)と共に尼となり、仏門に入ってしまうのです。
更に、世の無常を感じた仏御前も清盛の元を去り、祇王らを追って尼となり、共に余生を送ったのです。
心変わりをした人とは平清盛を指していますが、これを更に敷衍して言うならば、世の身勝手な男達を指しています。
驚くべきは、作詞家は、たんぽぽ姉妹を、祇王・祇女の姉妹に見立てて祇王寺を持ち出した事です。
いや、逆かも知れません。
作詞家は、京都出身のたんぽぽ姉妹を初見で見て、祇王、祇女姉妹を連想したのかも知れません。
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