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嵯峨野さやさや
感動体験を記すにあたり、私は先ず小説作品との関わりから始めようと考えていました。
けれども、急遽、予定を変更します。
音楽に関わる話です。
はい。いつもの事です。
何かをしようとした矢先に、つい別の事に気を取られ、計画が計画通りに進まない。
悪い癖です。そんな事を言いながら予期せぬ出来事を楽しんでいます。
文学を語るつもりが、いきなり音楽の話です。
どうかしています。
その理由は、自宅へ帰る途中に、カーラジオから流れた、ある歌に起因します。
私は車通勤なのです。
帰宅の途中、車の中で偶然に美しい歌声を聞いた。
これから述べるのは、そんな他愛もない話なのですが、とても文学的なのです。
私は、この歌に心を奪われました。
歌ですからクラシックではありません。
では演歌か。演歌ではない。ではポップスか。ポップスでもない。ロックでもジャズでも童謡でもレゲエでもなく、民謡でもない。
ジャンル不明の歌謡曲です。
その歌声に感動してしまった。
これは予期せぬ出来事で、思わず窓を閉め音量を上げて聴き入りました。
なんて綺麗な声だろう…………
この歌声に魅了されてしまいました。
澄んだ女性ソプラノで、美しい響きです。
以前に、どこかで、聞いたことがあるような気もします。
しかし、曲名も歌手名も記憶に無いのです。
演奏が終われば、誰だれの何という歌か紹介されるに違いない…………
車をコンビニの駐車場に停め、私は聞き耳を立てました。
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