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「今日は助かった、また明日ね」
あたしに微笑むと
今度はお母さんに向き
「夜分に失礼しました。お休みなさい」
きっちり一礼を残して
青木君は夜の闇に消えていった。
わざとらしいにも程がある。
だけど一切疑っていないんだろうか、お母さん。
「今時の子にしちゃ丁寧な坊っちゃんね。
流石、頭のイイ学校なだけあるわ」
さ、入りなさい、そんな風にあたしを促した。
何で遅くなったのかとか
彼はどういう関係なのか、とか一切聞かないけど
お母さん、いいの?
もう、9時過ぎてるし。
いいの?
「はなー、お風呂入っちゃってー」
「はーい」
階段を登る間際、リビングから聞こえたお母さんの声。
あたしは部屋で制服を脱いで
そのままお風呂場へ直行した。
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