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「嫁さん、こーへんたかぁ」
隣を歩く勝谷は唇を尖らせた。
「悪いな」
「何で菫梨が謝んねん。嫁さんかて忙しいんやろ」
さっきから聖護のことを嫁さんて呼ばれていることに突っ込み返す余力さえ無い。
あの後、先に教室に戻って行った聖護を引き留めることもできずに放心状態だった俺は、何とか自力で教室に戻ったものの昼からの授業は全く頭に入ってへん。
俺も聖護も部活には入ってないから、帰りもほとんど一緒やったのに今日はおらん。
意を決してアイツのクラスに寄ってみたけど、もう帰った後やった。
いつもなら「一緒に帰ろ」って嬉しそうに走ってくるくせに。
「なぁ、アイツって彼女いんのけ?」
「……さぁ」
「さぁ、て。お前ら幼馴染みちゃううんか?」
「そやからって何でも知ってるわけちゃうわ」
「そんなもんか」
「そんなもんや」
そもそも聖護の恋愛対象が男やってことを知ったんも、付き合いだした日と同じやっちゅーねん。
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