キミを好きになった日

12/15
前へ
/17ページ
次へ
音楽だけが流れ続ける室内。 皆の視線が容赦なく刺さる。 「……帰るわ」 「菫梨、どうしたん?」 勝谷のいつも通りの声に申し訳なくなる。 「ごめん……ちょっとな」 「1人で帰れるんか?」 「大丈夫」 なんて言っておきながら足に力が入ってないんがよう分かる。 フラフラと入り口のドアに手を掛けながら振り向いた。 えっと……名前、知らんけど…… 「ごめんな。手ぇ、痛かったやろ?」 さっきまで隣に座ってた子に謝ったけど、自分がどんな顔してんのか分からん。 「そいつら、めっちゃええヤツばっかやから仲ようしたって」 その方がええに決まってる。 俺なんか……好かれる資格無いわ。 閉めたドアにもたれて息を吐いた。 背中に聞こえる微かな音楽。 俺、何がしたかったんやろ……
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

123人が本棚に入れています
本棚に追加