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音楽だけが流れ続ける室内。
皆の視線が容赦なく刺さる。
「……帰るわ」
「菫梨、どうしたん?」
勝谷のいつも通りの声に申し訳なくなる。
「ごめん……ちょっとな」
「1人で帰れるんか?」
「大丈夫」
なんて言っておきながら足に力が入ってないんがよう分かる。
フラフラと入り口のドアに手を掛けながら振り向いた。
えっと……名前、知らんけど……
「ごめんな。手ぇ、痛かったやろ?」
さっきまで隣に座ってた子に謝ったけど、自分がどんな顔してんのか分からん。
「そいつら、めっちゃええヤツばっかやから仲ようしたって」
その方がええに決まってる。
俺なんか……好かれる資格無いわ。
閉めたドアにもたれて息を吐いた。
背中に聞こえる微かな音楽。
俺、何がしたかったんやろ……
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