第1章

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 一息つけたのはどれくらい経ってからだろうか……  そのころにはだんだんと起こった出来事すらも風化してきていた……  休日の一時だった。  午前中に線香だけを上げ、外へと出た。  まだ真新しい上置きの仏壇は、畳の部屋がないため家具の様な様式になっていた。  火を消し、仏壇の横にある厳めしい顔で睨んでいる写真を見ると改めて嘆息せざるをえない。  なぜ?  これが自分の所にあるのだろうか?  あんなにも……  写真の前にある愛用されていた黒縁のメガネを少し手に取ると弦の部分が擦れ変色してきているのがわかった。  それを再び置くと、市役所へと出かけていったのだ……  しかし、帰ってみるとおかしな事が起きていた。  メガネがないのだ。  確かにそこに置いたはずなのに……  もしや、泥棒?  そうも考えたが、なにも荒らされた形跡はなかった。  この仕事場兼自宅として中古の一軒家に引っ越ししてから10年……ずっと一人暮らしをしていた。  だからこそ、それをいじる人間などいるはずがないのだ……  そして、次の日になった。
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