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何かがいる気配を感じて目が覚めた。
カチャカチャという音がする。
時より、立ち止まり、時より軽快にそれが鳴る。
最初は息が止まり、そして固まったがそうもしてられない。
自己鍛錬用にと昔買い、すぐに飽きてしまった木刀の埃をはらいながら握りしめる。
「……」
足音を立てずにドアに近づき、その奥の様子をうかがった。
まだ音は鳴っている。
確かに何かがいるのだ。
息を静かに呑み……そして
「そこにいるのは誰だ!」
木刀を振り上げるようにしてドアを開け放った。
しかし、目にした光景を前に俺は全ての行動を止めた。
「え……あっ……?」
言葉が出ない。
勢いでずり落ちかけたメガネを押し上げ、木刀を下ろす。
確かに侵入者はいる……しかし……
「な、なんだ?」
目の前にいるもの……
柴犬だった。
それがちょこんと座っている。
大きさからすれば、十分成犬だろう。
玄関が開いてるのだろうか。
思わず確認しに行くが、鍵はしっかりと閉まっている。
夢?
そうも思いもう一度もどるが、やはり犬はいた。
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