第一章 はじまりはいつも突然に

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7月21日 午後1時 中原詩織から世間的には自殺したとされる友人の死について調べて欲しいという依頼を受けた翌日、俺と璃亜は早速本格的な調査を始めていた。 とりあえず情報収集からだ。 「というわけで、先週起こった女子高生の無理心中未遂について詳しく教えて下さい」 「何がというわけで、だ! 事件に関する情報なんて教えられる訳無いと毎回言っているだろう!!」 スマホのスピーカーから女性のハスキーボイスが聞こえてくる。 電話の相手は警視庁に務める安曇野乃里子さん。 なんでも30歳という異例の若さで警視監までノンストップで駆け上がった超のつくエリートだ。 何度か事件の中で関わる内にすっかり顔なじみになっちまった。 そしてウチの事務所の数少ないお得意さんでもある。 警察で手に負えないような普通じゃない事件や、表沙汰にできない事件などを依頼、という形で回してくれる。 俺たちが日々の生活を続けられるのは半分ほどこの人のおかげかも知れない。
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