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「でも毎回なんだかんだ言って最終的にはこっそり教えてくれるんだから余計なやりとりは無しの方向で」
「お前なぁ……」
スマホの向こうで呆れた顔をしているであろうアラサーエリート安曇野女史は一度深い溜息を吐いてからこう続ける。
「事件のあった日時は……新聞にも載ってたから省いていいな? 家族構成は父親と母親の三人、現場の写真なんかは後でメールしてやる。それと駆けつけた消防隊員から妙な証言が上がっている」
「妙な証言?」
「ああ、何でも焼死した日谷みのりは一度父親の手で火の手が上がる家屋から助け出されているんだよ。その上で父親の制止を振り切り再び炎の中に戻って行ったんだと。ま、詳しい事はメールに資料添付しといてやるから後で確認しとけ」
そろそろ仕事に戻る、と一方的に通話を切られてしまった。
やっぱりなんだかんだで甘い人だよなぁ、あの人。
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