第一章 はじまりはいつも突然に

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乃里子さんから送られてきた資料に一通り目を通し終わった俺は璃亜が淹れてくれたお茶をすすりながら今後の方針を考える。 「さて、一通り資料には目を通したわけだけど」 「確かに一見するとただの自殺に見えますね」 「ああ、でも薄っすらとだが感じるな。依頼主の言葉を借りるなら、普通じゃない何かってやつの気配を」 「では今回の依頼は……」 「ああ、当たりだぜ、少なくとも半分は」 俺たちがこの探偵事務所を開いている理由の一つにとある組織を追いかけている、というのがある。規模、目的、名前すらも一切不明の組織だが、一つだけはっきりしていることがある。 その謎の組織が俺の、……俺たちの敵だということだけだ。 「この事件に直接奴らが関わっている可能性は低いだろうが、手がかりぐらいは見つかるかもしれない。……お前の両親を殺した奴らのな」 「……所長。いいえ、相一様。……今更こんな事を聞くのは卑怯だと、そう理解した上で聞かせてもらいます。相一様は本当にこれで良かったのですか? 私の両親の仇討ちのためだけにこの事務所を開いた事に何の後悔も無いんですか?」
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