第二章 火前坊

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「お邪魔しまーす」 外から聞き耳を立てていても仕方ないので扉を開けて教室に踏み込んだ。 中にいたのはそばかすが特徴的な女子生徒と教師と思われる若い男性が一人、机を挟み向かい合って座っていた。 「え……っと、ウチの生徒……じゃないようだね。君は?」 こちらに気づいた若い男性が先んじて口を開いた。 「天柳探偵事務所、所長の天柳相一だ。先に言っとくけど別に教師と生徒の恋愛に口を出すつもりも、学校側にチクるつもりも無いぞ。今日来たのは別の用事だ。ちゃんと学校側の許可もある」 少し警戒した様子を見せたが、俺の首にかかった来客用のプレートに気づくと少し気を抜いたようだった。 「あはは、確かにそう取られても仕方ない状況だったね。僕は刈谷雅紀、最近この学校に来た臨時教師でこのクラスの副担任をしている。用事っていうのは――」 「あの、先生……」
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