第三章 人間と妖怪

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もう日が落ちたとは言え夏真っ盛り、じめっとした暑さが身にまとわりつくようだ。 ようやく学校に戻ってきた頃には、全身から滝の様な汗が流れ出ていた。 「はぁ……ぜぇ……、絶対に……明日には……エアコンを買いに行くぞ」 普通の高校ならこの時間には誰もいないはずだ。 にも関わらず正面玄関の扉は大きく開かれている。 「ようこそおいでませって感じだな」 開かれた扉からは、人ならざる者の気配、俗に言う妖気が溢れているのを感じる。 それはまるで肉食獣の大口から漂う腐臭のように近づく人間に対して危機感を感じさせるものだった。 「上等だ、まんまと乗せられてやるよ」 俺は気にせず夜の学校へと足を踏み入れる。 その瞬間、辺りに漂う妖気がより濃いものに代わった。
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