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そこで俺は一瞬でも目の前の人物から注意を逸らしたことを後悔した。
いや、そんな時間すら得られなかった。
なぜなら、目と鼻の先にボーリング大の炎の塊が迫っていたからだ。
「ッぉおおおおおおおおおお!?」
咄嗟に頭を振りかぶり、すんでのところで炎塊を躱す事に成功する。
じり、と髪の焦げ付いた匂いが鼻につく。
目の前の男は先ほどとほとんど変わらぬ様子で立っている、違っているのは両腕を始めとする体の所々から赤い炎が揺らめいていることか。
こ、いつ――もう隠そうともしやがらねぇ!?
「そうそう話の続きだけど後でゆっくりしてあげるよ、廊下に転がった君の燃えカスにね」
刈谷が腕を振るうとその動きに同調して鞭のように炎がしなる。
獲物に襲いかかる蛇の如く、しなる炎が俺の顔目掛けて迫ってくる。
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