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俺は一度短く息を吐くと、スマホを取り出し画面も見ずに親指を走らせ、液晶画面を炎の鞭に対して突き出した。
轟、と一瞬で俺の体が炎に包まれる。
摂氏何百度、何千度だか知らないが自分の肌で確かめたいとは思わない超高温が辺りを埋め尽くす。
普通であれば唯の人間が無事でいられるはずがないーーーーーーだが。
「…………何だい? それは」
刈谷は……、いや火前坊は自慢の炎がたかが人間相手に焦げ目一つ付けられなかった事に疑問を覚えているようだ。
答えは簡単。
俺と炎の鞭を隔てるように球状で淡い光を放つ薄い障壁が存在していたからだ。
障壁には幾何学的な模様が浮かび上がっており、淡い光を放っている。
「今の時代スマホで変身するヒーローもいるんだぜ? 予め術式をデータ化してスマホにインストールしておけば後は指先一つで発動可能って訳だ」
いくらなんでも丸腰で妖怪の前に立つほど命知らずなわけじゃない。
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