第三章 人間と妖怪

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「まあこうして君がやってきてくれたんだから結果オーライなんだけど」 こいつ……!! いや……落ち着け、ここで取り乱したらあいつの思う壺だ。 冷静に相手を観察しろ。あいつが人間の枠から外れた超常の力を振るう事はもう分かった。 あいつはおそらく妖怪そのものではなく、何らかの方法で火前坊の力を使役しているだけの人間だ。 そして相手が人間なら勝機はある。 基本的に人間が妖怪を殺すことは不可能だとされている。 それは人間と妖怪が存在している空間には僅かだがズレのようなものがあるとされており、そのズレを超えてもう一方の空間に影響を与えられるのは妖怪だけだからである。 故に刃物に銃火器、果ては核兵器といったこちら側の兵器では一時的な傷を負わせることはできても完全に絶命・消滅させるにはいたらない。 「テメェ自身がただの人間で良かったよ。それならいくらだってやりようは――」 「おいおい、僕がただの人間だって? ……これを見ても同じ台詞が言えるかな?」
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