第三章 人間と妖怪

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直後、刈谷の全身が赤熱し凄まじい勢いで火炎を放出し始め、あっという間に黒煙と火炎で姿が見えなくなってしまった。 その熱は窓ガラスを一瞬で溶かすほどで、もし俺が光の障壁の内側にいなければ全身火傷はもちろん呼吸をするだけで体の内部から焼け付いていたであろう。 灼熱の放射はものの数秒で収まった。 「―――――――おいおい、何だそりゃ!? ありかよそんなの!」 黒煙が晴れ再び姿を現した刈谷は人の形をしていなかった。 鬼、端的に表現するならこれがピッタリ当てはまる。 肌の色は赤。ペンキを頭からかぶった様な真紅の躯。両腕両脚は丸太の様に太く、深紅に染まるその全身は岩肌の様にごつごつしている。 そして廊下の天井すれすれの位置にある頭部からは、短いが太く岩の様な角が一本生えていた。
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