第三章 人間と妖怪

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「これまた驚いたよ、使役ではなく妖怪の力を取り込み支配した僕の一撃を耐える人間がいるなんて」  「驚いたのはこっちだよ。……火前坊ってそんなにマッチョな妖怪だったか?」 俺の言葉に鬼の姿をした刈谷が心底楽しそうに笑う。 「妖怪に決まった姿なんて無いのは君も知っているだろう。あの有名な河童でさえ四足歩行だったり二足歩行だったり、鱗があったりなかったり色んな姿が知られている。だったら、こんな火前坊がいても問題は無いだろう」 ……つまり刈谷は火前坊の力を自らの身体に取り込む際に、その構成を一度分解、そして再構築することで自分に都合のいいように書き換えたということか。 「それにしたって限度ってもんがあるだろう」 火前坊って元々は痩せこけた乞食坊主の様な姿じゃなかったか? そんな事を考えながらも目の前の脅威に対して警戒を怠らない。 そもそも相手が人間から妖怪に変化してしまった時点で、この戦闘の目的が撃破から生存へとシフトしている。
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