第三章 人間と妖怪

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スマホを持つ腕を大きく振るい、近くにあった消火器を鎖で絡め取ると鬼の顔面に向けて投げつけた。 鬼の額の角に消火器が直撃する。 ボンッ! と消火器が破裂し、辺り一面が真っ白に染まる。 「こんなモノが効くとでも!? それとも苦し紛れの目眩ましか!?」 もちろんこの程度で鬼の突進は止められない。 コンクリートを容易く砕く肉体は、これぐらいで傷はつかない。 白い粉塵の中で巨大な影は勢いを弱める事なくこちらに迫る。 それでいい。 「鬼さんこちら手の鳴るほうへ、っと」 俺の言葉に反応してか、巨体の勢いが更に増す。 それで、いい。
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