第1章

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その女を調べると、それが野坂時子だった。 時子が真犯人と確信をえた息子は、復讐することを考えるのだが、年老いた時子を殺害するのはたやすい。 それよりも娘の咲代を殺し、家族を殺された、辛さ、悲しみ、生き地獄を味あわせる。 (しかしなぁ、この推理はムリじいすぎる気もある。 息子が成人してからだと、事件から10年以上はたっているし、真犯人が時子おばさん ちゅう所までたどり着くのは不可能ちゃうか) また時子真犯人説も、まったく証拠の無い、大胆な、いわば妄想に近いものである。 30年前の事件には、時子はまったく無関係。 今回の咲代殺害事件に関しても、犯人とおぼしきサカキと言う人物は、榊利文の息子などではなく、全然繋がりのない、大阪内に住む 別の榊さんかもしれない。 そう考えるのが普通ではないか。 (いや、しかし、待てよ)
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