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日曜日の午前中。
家でノンビリしていた宋一の携帯電話がなった。
電話を耳に当てると、つんさくような広野の声が聞こえて来た。
「今日、宋ちゃん休みやろ?
今からメシ食いに行かへんか?
外環沿いに上手いトンカツ屋あんねん」
その割れそうな弾んだ声に、宋一は少し、携帯電話を耳から遠ざけ
(事件の話しやな)
と感じ
「大丈夫ですよ。なわて光署に行けばいいですか?」
安っぽい腕時計に目を向けた。
「エエよ。ほな待ってるからな」
宋一は携帯電話をポケットにしまい、身支度を始めた。
一時間後、警察署に着いた宋一は、車を駐車場の白線に沿って、キレイに停めた。
その時、待ってましたとばかりのタイミングで広野刑事が現れた。
「急に呼び出してすまんな」
「いえいえ。乗って行きます?」
宋一は助手席のドアを開けようとした。
「いや、歩いてでえんちゃう?
すぐ、そこやねん」
「判りました」
宋一は車から降りた。
二人は、良い感じで車が流れている外環(国道170号線)を30分ほど歩いた。
(すぐそこちゃうやんけー)
ちょっと、へたってきた宋一がモゴモゴぼやいていると
「ほら、ここや。『トントンカツカツ』」
広野が指差した目の前の店には、大きな黄色の看板に「トントンカツカツ」と、下手な丸文字で書かれていた。
(トントンカツカツて、安易な店名の上に、むっちゃ、字ー下手やん)
ふざけとるなと宋一は思ったが、さっさと店内に入った広野の後について、入って行った。
昼前なので、まだ席は8割ほど開いていた。
国道の見える窓側に座り、トンカツ定食を注文した。
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