第1章

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「やはりアレですね。榊卓也って、利文の息子やったんですね」 宋一は、早速本題を切り出した。 「おー、そうや!偶然に利文の息子やったんよ。宋ちゃん、大手柄やで」 「卓也は、どういう供述をしたんですか」 その時、トンカツ定食が運ばれて来た。 「今日は出てくんのが、えらい早いなー。もう作っておいてあったんちゃうかー? あはは、とりあえず食いながら話そ」 広野は笑いながら宋一に箸を渡した。 ひときれ口に運び 「うまいのー」 と感心したあと 「サカキなー」 と語り出した。 「榊卓也は30年前の事件があって両親がいなくなった後、名張の祖父母の所で暮らした。 高校を卒業すると、大阪に帰って来て、ある企業に寮住みで勤め始めた。 それは、枚方市にあんねんけどな。 で、4年でそこを辞めて、四條畷の(株)プラルって言う、プラスチック会社に、中途で入社した。 そこに、少し後で咲代さんも入社して来た訳や。 卓也23歳、咲代さんが21や。 咲代さんはまだ独身やったんやけど、今の旦那さんの雪雄さんとは、付き合うてたらしい」 「その会社時代は、咲代ちゃんは雪雄君と付き合っていて、卓也とは、まだ単なる同僚やったんですね」 「いや、それがなぁ、咲代と卓也は、そん時も関係があった。 つまり、咲代さんは、二股をかけとったちゅう訳や」
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