21人が本棚に入れています
本棚に追加
「やはりアレですね。榊卓也って、利文の息子やったんですね」
宋一は、早速本題を切り出した。
「おー、そうや!偶然に利文の息子やったんよ。宋ちゃん、大手柄やで」
「卓也は、どういう供述をしたんですか」
その時、トンカツ定食が運ばれて来た。
「今日は出てくんのが、えらい早いなー。もう作っておいてあったんちゃうかー?
あはは、とりあえず食いながら話そ」
広野は笑いながら宋一に箸を渡した。
ひときれ口に運び
「うまいのー」
と感心したあと
「サカキなー」
と語り出した。
「榊卓也は30年前の事件があって両親がいなくなった後、名張の祖父母の所で暮らした。
高校を卒業すると、大阪に帰って来て、ある企業に寮住みで勤め始めた。
それは、枚方市にあんねんけどな。
で、4年でそこを辞めて、四條畷の(株)プラルって言う、プラスチック会社に、中途で入社した。
そこに、少し後で咲代さんも入社して来た訳や。
卓也23歳、咲代さんが21や。
咲代さんはまだ独身やったんやけど、今の旦那さんの雪雄さんとは、付き合うてたらしい」
「その会社時代は、咲代ちゃんは雪雄君と付き合っていて、卓也とは、まだ単なる同僚やったんですね」
「いや、それがなぁ、咲代と卓也は、そん時も関係があった。
つまり、咲代さんは、二股をかけとったちゅう訳や」
最初のコメントを投稿しよう!