第1章

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「えっ! さ、咲代ちゃんが二人と付き合ってたって?」 「そう卓也は言うとる」 確かに咲代は、若い頃から、ちょっと派手系で、恋愛感も広い所はあった。 顔だちも結構、べっぴんさんなのは、時子譲りだろう。 男からのアプローチも多かったに違いない。 (俺もイトコじゃなければ、いってたかもしれん) そう思いながら宋一は、曖昧な笑いをかすかに浮かべた。 「と言うことは、咲代は雪雄君と先に付き合っていた。 その後、卓也とも付き合いだしたっちゅうことですか」 「咲代さんは、以前勤めていた会社で、雪雄さんと知り合い、付き合い始めた。 その関係も続けながら、次に入った勤め先にいた、卓也とも会っていた。 咲代さんはその時、卓也には、自分には結婚を考えている年下の彼氏がいてんねんとは、伝えていたが、逆に、雪雄さんには卓也の存在は隠しとった」 「それはさすがに言われへんでしょうね」 「二股と言っても、咲代さんが優先してたのは雪雄さんで、卓也とは割り切った付き合いだった」 「なるほど」 「それで 一年後、咲代さんは雪雄さんと結婚する。 所が結婚後も、たまにやが、卓也と密会してたらしい」 「そ、そうなんですか」 宋一は箸を止め、呆気にとられた。 咲代がそこまで恋に緩い女だったとは、これには宋一も気持ちが引いてしまった。 「さすがに 咲代さんが結婚して一年くらいは会わへんかったらしいんやけど、ぼちぼち連絡取り合って、また関係が復活したゆーとるわ。 せやけど、咲代さんに子供が出来たのをきっかけに、もう会うのやめようと言う話しになった。 そこで二人の関係は終わった」
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