第1章

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「その後、二人は会ってないんですか?」 「そーらしいで。 咲代さんは電話番号を変えたらしくて、卓也が連絡しても通じへんかった。 それならもうエエか。ってな感じで、卓也もその後、5年前に結婚した。 所が今年の3月に梅田で偶然、バッタリ二人は会うんやなぁ」 「なるほど。 それで二人の仲が復活した訳ですね」 「そうや。 ただ卓也が言うには、咲代は昔ほど反応は良くなかった。 誘われて、しょうがなく会ってる感ちゅーのがバリバリ見えてたらしい。 そんな気はなかったんやけど、暇やしエエかっちゅう感じやったらしいな。 そやから咲代は断ることもあった。 事件当日も、現場で待ち合わせし、車内でワイセツ行為をしようとしたんやけど、咲代は、抵抗し、もう連絡せんといてと、別れ話しを切り出した。 しかし卓也は納得しない。 『ほな、私、帰るわ。アンタ1人でホテルでも行ってきーや』 言われて、カッとなって首を絞めて殺した。 その後、咲代のハンドバックを持って現場から去り、途中の藪の中に捨てた。 その供述通り、ハンドバックが見つかり、 携帯電話には、卓也とのメールのやり取りも残っていた、っちゅう訳や」 広野は大きめのカツを口に入れた。 今までの話しに、30年前の事件は出て来なかった。 それだけでも、ホッとした宋一が 「そうでしたか。 しかし、ドロドロですねー」 と言うと広野も 「ホンマやな~、ドロドロ事件やな」 と苦笑した。
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