第1章

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姫子は 榊家の血をひいている。 だとしたら、自分の祖父になる榊利文を殺害され、祖母(榊静子)がその犯人にされた上に、獄中で死亡すると言う惨劇を巻き起こした時子を、 そのことなど、全く知らない姫子なのだが、 彼女の中の榊家としての血が、DNAが本能的に時子を敵と認識した。 家族をメチャクチャに破壊した犯人、時子を受け入れられないのだ。 本人もなぜ、祖母の時子を否定してしまうのか分からないと言っているが、本能なのだろう。 一方卓也も、彼の復讐の血が、咲代を呼び寄せ、本人の分からないまま、両親のかたきをうった。 と言うことか。 ただ、事実、姫子は時子の孫でもある。 半分は野坂家の血であるからには、 今の状態がこのまま続くとも思えない。 (深い血の根はいつ、途切れるんやろか。 復讐はいつ、絶たれるのか。 もしかして、姫子も時子おばさんを殺す時が来るんやろか。 それは、まずいやろ。 これは、注意しとかなアカン。 いや、大丈夫やろ。うん、大丈夫や思う) 宋一は、この家族を出来るだけ見守ってやらねばと心に誓って つい、握りこぶしを強く握った。
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