21人が本棚に入れています
本棚に追加
今まで大して気にしていないような言いかたではあったが、やはりデカ。
不審感は抱いていたのだろう。
「そ、それは・・・」
(まずい、これはひじょーにまずい)
叱られている子供のように宋一はうつむき、目線を広野から外した。
額に薄く汗がにじみ、なんだか取り調べ感が漂って来て、容疑者の気分になってきた。
「やはり・・・自分も不思議に思ってて・・・・ムッチャ偶然の出来事で・・・・なんでこうなったのか・・・」
宋一が、しどろもどろになっていると、広野は一転、爽やかな表情になり
「もうエエよ。
なんか怪しいけど、今回の事件は、なんせ、宋ちゃんのおかげで犯人を捕まえてんから、許したるわ。
その話しは宋ちゃんが言える時期が来た時でエエから」
と笑った。
(助かった)
宋一は何も言わず、額の汗を腕でぬぐいながら、ペコリと頭を下げた。
店を出ると8月の強い日射しが二人の肌を刺した。
「今日も暑いのー。UVケアが必要やな。
なんせ、お年頃やから」
の初老刑事のボケに
「そうですね。ごっつぁんです」
と答えただけだったか
「おう、また食いに行こな」
と気にしてない風だった。
また、歩いて署に戻った二人は、そこで別れた。
最初のコメントを投稿しよう!