プロローグ

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なんて思いながら、待つこと三分・・・・・・、カップラーメンでも作っていたのかと思う程度の時間で、真っ白な少女は戻ってきた。 喜色満面である。 すげぇ嬉しそう。 「話、付いたよ。今すぐにでも受け入れ準備、初めてくれるって。問題は、不死のスペックの方だけれど、そっちは私がなんとかできるから、大丈夫」 「何が大丈夫なんでしょうか」 少なくとも、真っ白な少女の頭は大丈夫ではない気がする。人をそんな苦行に送り込もうとしているときに、あんな良い笑顔を浮かべられる奴が、まともなわけがない。 ええい、畜生。どうにか逃げられないのか。 死ねない身体とか、お荷物以外の何物でもないだろう。自殺者としてのプライドが許さない。 「そんなプライド、捨ててしまえ」 真っ白な少女はそう言って、こっちを測るような眼で見てくる。 「・・・・・・? なんですか」 「いや、そろそろのはずなんだけれどなぁ、って」 「? そろそろ?」 何がですか・・・・・・、と、そう尋ねようとした途端に、不意に瞼が重くなった。 同時に、視界が少しずつ黒色に塗りつぶされていく・・・・・・、身体の所有権が奪われていくような感覚。 「・・・・・・、あ、れ・・・・・・?」 「ごめんね、睡眠薬、盛らせて貰ったんだ」 ・・・・・・、あーあー、あの紅茶かー・・・・・・、失敗した。普段なら、他人から出されたものを警戒心の欠片もなく口にするなんて、するはずのない私なんだけれど、この異常事態に、私も少しばかり、舞い上がっていたようだ。 睡眠薬、ね・・・・・・、気づかない私も馬鹿だったかもしれない。 「少し匂いのある薬だったから、アールグレイで打ち消せないかと思ったんだけれど、どうやら成功だったみたいだね」 「・・・・・・、そう、ですね」 全然気づきませんでした。むしろ私が鈍いだけだったかもしれないけれど。 なんて、考える力も段々と失せていく。ええい、どれだけ強い薬なんだ。と言うか、死人に睡眠薬って効くのかよ。 ああ、だめだ、もう・・・・・・。 「次に目が覚めるときは、もう、終わっているから・・・・・・、いや、始まっている、かな。だから、安心して眠ってね」 その言葉を最後に、私の意識は融けていく。 ゆっくりと、闇へと順応していく。 ああ、まったく。 嫌な感じだ。
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