不死殺し

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なんて開き直った風のことを考えながら路地裏を脱兎のごとく走っていくと、一拍遅れて後ろの方からざわめきとか色々聞こえてくる。だが気にしない。大丈夫、あの場に私が私だとばれる要素はなかったはずだ。 鞄も、その中身もちゃんと無事である。独絶丸も、括ってあった鎖の異常な頑丈さのおかげで、落ちていない。衣服も問題なし。ならばオールグリーン。 「・・・・・・、ほとぼりが冷めるまでは、裏路地に身を隠していた方がいいかなぁ・・・・・・」 まあでも、三時間もすればすぐに騒ぎは収まるだろう・・・・・・、なんだ、なんならいっそのこと、全部白昼夢、集団幻覚でしたー、なんてことで済まして貰えないだろうか。 ・・・・・・、無理か。 いや、でも行商人さん曰く、この世界において不死は珍しい存在ではあるけれど、必ずしも不可能的な存在であるわけではないのだったか。 すなわち、私があそこで不死性を披露しても何ら問題ない・・・・・・、なんて都合よく行くのは私の人生ではない。 間違いなく何らかの騒ぎになり、私と言う存在が不死であることが露見するだろう。不死不死・・・・・・、ふっしー。ポケットモンスター赤において最初にフシギダネを選択した裏切り者な私ではあるけれど、まさか私が不死になるとは思わなかった。 ・・・・・・、いや、誰が思うんだそんなこと。 多分私がフシギダネを選択したことと不死になったことには微塵も因果関係はないだろうが・・・・・・、しかし、不死か・・・・・・。 考えてみれば、凄い話である。 私個人的な、超個人的なことのみを言わせてもらうと、この能力ははた迷惑しかないわけだが、しかるべき人間に渡れば文明が一、二段階易々と上がるレベルの異常だ。 人が死なない。 死なない人。 どこまでも因果に喧嘩を吹っかけているそれだけれど、しかし神様がくれたと言うのだから仕方がない。本当に碌でもねーな、神様。 だからこそ、思わずにはいられない。 この力は、能力は、性質は、異常性は、私には不釣り合いだし、私の手に負えるものではない。 私は力を所有したくない人間なのだ。大いなる力には大いなる責任うんぬんとスパイダーマンでも言っていた。そう言えばアメージングスパイダーマンではカットされていたな、あのセリフ。 故に、この不死性を無くせるならば無くしたいし―――、もしもこの不死性を他人に譲渡できるならば、私は喜んでそうすることだろう。
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