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「・・・・・・、上手く行かないものだなぁ」
歯車がかみ合わない感じ。間違っている感覚。
そう言うチグハグ感は嫌いではないけれど―――、まあいいさ。不死性。
〝死ぬまで死ねない〟―――、と言う私に与えられた罰。私はそれを拒否しよう。拒絶しよう。
私の持てる全力と全身と全霊と全心と―――、ありとあらゆる私を使い、使い果て、使い潰してでも自殺してやる。
それが私にとっての、神への反抗であり、反逆だ。
「・・・・・・、うんうん」
私は一段と意思を固める。自殺に対してのモチベーションを一息に向上させる。もっともそんなことをせずとも、生きているだけで私の中に自殺欲求はいとも簡単に溜まっていくのだが。
溜りに溜まった自殺欲求は、あっさりと人を殺す。私を殺す。私を取り殺す。
しかしそれでも死ねなければ、自殺欲求は溜まる一方だ。まったく、まさしく拷問、蛇の生殺しどころか、なます切りもいいところである。
「・・・・・・、まあ、結局はそこに行きつくんだよね・・・・・・」
・・・・・・、私の中に籠っている似非哲学的な何かをこねくり回して、時間を経過させようと試みてみたけれど、ええい、駄目だ。
三時間なんて待てるか。
私は気が短いのだ。
自殺を十六年間も我慢した功績はあれど・・・・・・、しかし冗長である世界に対して私は意を申したくなる。いわゆるせっかちと言う奴だ。ポケモンで言えば素早さが高いぞ。
「・・・・・・、よし、行こう」
まだ騒ぎは収まっていないだろうけれど、もういい。諦めた。と言うか吹っ切れた。どうせ私のことなんぞ誰も覚えていまい。
私は壁に寄りかかっていた身体を起こして、歩き出す。事故のショックで脳がいい感じにシェイクされていたが、それでも宿泊施設の場所は覚えていた。
案外頼りになる私の記憶力である。
中々やるじゃないか、などとよく解らない自画自賛を挟みつつ、ノンストップで歩を進める。
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