不死殺し

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なるべく裏路地を経由しながら、頭の中に地図を作成していく。無論のこと正確なものではないけれど、おおざっぱに。 どこにどこがあって、私の目的地はどこら辺にある、みたいのを感覚的に理解していく。さっき事故があったのがあそこだから・・・・・・、まあ、教えられた場所が本当であれば、そう時間が掛からずに到着するはずだ。 空は生憎の曇り空だけれど、雨が降ってくる様子はない。湿気が少しあって、髪がぺたんとしている。 櫛の通りが悪いと、雨が降る。 昔の人の言うことはためになるものだ。 「・・・・・・、・・・・・・」 考えてみれば、別に私、歩く必要はないわけだよな・・・・・・、歩く必要はない、と言うか、つまるところ、私の身体には疲労が一切蓄積されないわけだろう? それってすなわち、 延々に全力疾走が可能である、と言うことに他ならないじゃないか。 マラソンが死ぬほど嫌いで、百メートル走どころか、五十メートル走でも音を上げていた私だけれど、考えてみれば今の身体であれば、マラソンでも百メートルでも五十メートルでもどんと来い、と言うものだ。 特別、差し迫った事情があるわけではないけれど、早いのならば早い方がいい。私は軽く小走りになり―――、やがて走り出す。 いや、まあ私のせっかちは、『待つこと』と言うか『待機時間』に対して発揮されるもので、何かを行っている間は特別待ちきれない、と言うこともないのだけれど、まあいい。時間は有限、節約するに越したことはない。 出来れば私が寿命を迎える前に、自殺したい。と言うか寿命を迎えたら自殺出来ない。 交通手段において、私が最も好きなのは徒歩だ。次点で自転車だけれど、自転車には生憎乗れないので、事実上好きなものは徒歩だけと言うことになる。 車や電車、バスやタクシーはどうしても苦手だ。 あれは待ち時間が長すぎる。 地獄と言ってもいい。 ならば疲労することが前提だとしても、歩いたほうがいいと言うものだ。散歩の有用性は、隣のトトロでも唄っている。
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