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「諸君!! よくぞ集まってくれたと言わせて貰おう。君たちが多忙であることはこの私が一番よく知っている。だが、こうして集まってくれたことを神に感謝しよう。神に―――、つまり『死』にだ!!」
どこか、教会のような場所だった。
ステンドグラスがはめ込まれた壁の前に、祭壇があり、その背後に巨大な十字架が存在している。
その十字架には巨大な亀裂が入っていて、おまけに斜めに床に突き刺さっているため、誰かが蹴ればその衝撃だけであっさりと崩れ、壊れ、倒れ伏してしまうようなそんな気もした。
その十字架の前に、ぽつりと存在している祭壇には、白色の上質な布がかけられていて、その上には一冊の聖書が置かれている。
更にその祭壇の前には、白色の神父服を着こなした一人の男が立っていた。白銀の髪。赤色の瞳。年は四十代くらいだろうか。整えられた長さの髪をオールバックにしている。
その瞳には剣呑な色がありありと宿っていて、ありていに言えば殺意に―――、あるいは敵意に満ちていた。
その男の眼前には、横に長い椅子がいくつも並んでいる。集会の時には、そこにたくさんの信徒が据わり、祈りをささげるのだろう。
だが、今ここに信徒はいない。
代わりに、六人の男女がそれぞれ、バラバラに―――、散り散りに座っているのが見受けられた。
この場にいる人間は、神父服の男を含めて七人。それぞれがそれぞれ、どことなく、そこはかとなく『異様』な雰囲気を纏っている。
椅子に腰かけた六人の姿形は、開け放たれた教会の扉から入る逆光によって、おぼろげにしか観察することが出来ない。
六つの影。
「―――、前置きはいいから、ちゃっちゃと用件済ませろよ。クレメンティア牧師。俺は忙しいんだからよ」
ふいに、影の一つがそう言った。酷くぞんざいな口調だったが、神父服の男―――、ウルベイン・クレメンティアはそれに対して腹を立てることもなく、気にすることもなく、ただ言葉を紡ぐ。
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