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「まあ落ち着き給え、アニエス・アバスカル。君は気が短くていけない・・・・・・、まあいいさ。諸君の中にもすでに存じているものがいるかもしれないが、このたびまた新たな『不死』が現れた」
ウルベイン・クレメンティアの言葉に、六つの影はそれぞれ思い思いの反応を見せる。露骨に驚いて見せる者もいれば、つまらなそうにあくびをするだけの影もいた。
「目撃された場所は『アカデメイアの街』であるが、すでに対象は移動を始めている可能性が高い。しかし安心するといい。足取りは私の方でも追っている―――、逃すことは、あり得ない」
あり得ない―――、と、影の一つが復唱した。
「足取りと言ってもさぁ、どこまで追えんの? 顔とか割れてるわけ?」
女性の声だった。
影の一つから、そんな言葉が上がる。ウルベイン・クレメンティアは、それに対して、前もって回答を用意していたが如く、平然と頷いた。
「その『不死者』の顔ならば把握している。なにせ写真が残っているのだからな―――、間抜けな話だ。あるいはとんでもない大物なのかもしれないが・・・・・・、まあ、どちらにせよ、私たちのやることは変わりない」
その言葉に、影は全員頷く。
「異端者には死を―――、七つの例外を用いて、邪悪を討つ」
「―――、七つの例外を用いて、邪悪を討つ」
「―――、我らは『埋葬者』。不死者であろうが、必ず殺せ―――、そこにイレギュラーは存在しない」
宣誓が終わると、ウルベイン・クレメンティアは懐から何かを取り出した。合計七枚存在しているそれは、写真だった。
黒髪黒目の少女の映る、写真―――、やたら目つきの悪い少女である。ウルベイン・クレメンティアは、そのうちの六枚をばら撒くようにして投げた。
ひらひらと舞う写真は、狙ったように六人へと行きわたる。
「それが、今回のターゲットだ」
「は、はは、おいおい、クレメンティア牧師よ・・・・・・、なんだコイツ、まだガキじゃねーか」
「アニエス・・・・・・、不死者に対して、外見年齢は当てにならん」
影の一つから上がった声に対して、ウルベイン・クレメンティアはそう言葉を零す。
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