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「気を引き締めろ・・・・・・、まだほとんど情報が出回っていないからな。一体どんな『不死』なのか見当もつかん」
「つってもよ・・・・・・、みろよ、この阿呆面。警戒なんて微塵もしてねーって顔だぜ? 俺たちの手にかかれば―――、つーか俺の手にかかれば余裕だろ」
軽佻浮薄な影の声。ウルベイン・クレメンティアは少し頭を押さえるようなしぐさをする。
「ならば君がいくか? アニエス・アバスカル・・・・・・、まったく、本当に君は気が短いな」
「ああ、上等だとも。刹那に殺してやるよ―――、まあ、余裕だろ、こんな雑魚・・・・・・、んで? コイツの名前は? それともまだ名前も割れてねーのか?」
「いいや、名前は既に判明している。奴が泊まったと思われる宿に記載されているのを見た・・・・・・、名前は、『綴目しなび』」
「綴目しなび」
影は復唱する。
「はっ、オーケー・・・・・・、速攻で片ァつけてやる・・・・・・、朗報待っとけよ、クレメンティア牧師」
その言葉と共に、影の一つが椅子から立ち上がり、カツカツと教会を闊歩する―――、そして、開け放たれた扉からゆっくりと出て行った。
ウルベイン・クレメンティアは、それを止めることもせずただ見送る。残りの影の大半も、気にするような素振りは見せない。
「・・・・・・、独りで大丈夫かなぁ」
―――、残された影の一つから、そんな声が上がった。
「なに、心配はいらないさ・・・・・・、なにせ、あいつだからな」
〝不死殺しの先駆け〟にして〝迅殺の獣〟―――、と、ウルベイン・クレメンティアは言う。
「敵が死ぬことはあっても、奴は死なない」
残された五つの影は、クスクスと笑う。ウルベイン・クレメンティアはそれを見て、実に尊大な笑みを浮かべた。
「我らが神のもとに、すべては死に絶える」
―――、こうして、会合は終わる。
―――、そして、終わりが始まった。
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