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ただの励まし文句じゃない。
全力で彼の夢を応援したかった。
浴衣姿で志鎌さんの隣を歩く私。
彼は片付けを始めた露店に視線を向け、不意にカメラを楽市の屋台に向けた。
―――カシャッ、カシャッ・・・――――――
カメラのシャッターが切られていく。
祭りの終わり。
今はまだ微熱を帯びているが、明日からこの通りはいつも通りの風景に戻る。
「雛乃ちゃん?」
不意に名前を呼ばれた。
そのまま彼の持つカメラは、楽市を背景としたまま私の姿を捉えて・・・――――――
「可愛い・・・。」
―――カシャ・・・――――――
彼の口から零れた褒め言葉と同時に、カメラのシャッターの音が雑踏の騒音に交じり合う。
彼は私の姿を撮影し、そのまま穏やかな口調でこう言い残した。
「俺もあの楽市で活躍する職人さんたちのように、いつか立派なカメラマンになる。
その時は雛乃ちゃん、また君の姿を撮らせてもらえないか・・・?」
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