「ありがとう」って伝えたくて・・・

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この約束は、志鎌さんがカメラマンとして立派にならなければ果たされない約束。 だけど私は、また彼と会える日を信じていたかった。 「いつかは志鎌さんも、あの楽市に出店するクリエイターたちみたいになれるといいですね・・・。 その日が来るまで、私はお稲荷さんと一緒にこの豊川で待っていますから!!」 最後まで彼の連絡先を聞く事ができなかった。 楽市を後にし、私は豊川駅へ志鎌さんを見送りに行く。 豊橋発の最終便の新幹線に乗り、彼は東京へ帰ってしまうのだ。 「雛乃ちゃん、またね・・・。」 彼にとって私はおきつねバーガーの売り子であり、現地でたまたま知り合ったガイド兼フォトモデルだ。 「また撮らせて欲しい」だなんて、もしかしたらただの社交辞令かもしれないのに・・・――――――
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