呪われし兄妹編

9/9
前へ
/11ページ
次へ
「居場所は大丈夫として、あとは原因となった感情を調べないとな」 一方の龍騎は、調べるべきもう一つの謎を考えていた。 魔法探偵の仕事はオーバーストした子どもの確保と、原因となった感情を割り出すことだ。 「よし、二人目以降を当たっていくか」 意霧に渡されたメモの、夢乃の下に載っている人物に話を聞いていくことにした。 「分かりません」 「そうですか」 何人か話を聞いてみようと訪問するが、有益な情報はなかった。 地中に埋められた弟の遺体のことも気になる。 「いまいち進みが悪いな」 奈々華は早く終わりそうだと言ったが、やはりそううまくは行かないようだ。 そろそろメモに載っている人物リストも終わりに近づいていく中、やっと話を聞ける人物に出会えた。 「警察ですか?」 野宮明(のみやあかり)、遊子の部活の仲間と載っている。 いつものように偽装警察手帳を見せるが、どうにも警戒させてしまう。 そうしないと話を聞く理由がなくなるので仕方ないのだが。 「何か家庭内で問題があったなど聞いていませんか?」 「火災に関係あるんですか?」 もっともな反応である。 「発火が事故でなく放火なら、家庭内の誰かが犯人の可能性もあるので、念のため家庭内に問題が起きていなかったか調べているんです」 「なるほど・・・。特に聞いては」 そう言いかけて、ふと思い出したように話し出した。 「関係あるか分かりませんが、彼女、遊子ちゃんとはクラブが一緒なんですけど、普段彼女は着替えてからグラウンドに来るんですよ。ただ、一度だけ彼女が部室の更衣室で着替えたことがあって、その時ちらっと見えたんですよ。体中にアザがあったのを」 「アザ、ですか?」 「彼女は隠しながら着替えていたんで、見えたのは一瞬だったんですけどね。まさか虐待を受けていたりとかするのかなって思ったんですよ」 「それを誰かに言いましたか?」 「いえ、彼女とはそこまで仲が良いわけじゃないので、深入りするのも悪いかなって思って」 龍騎はできるだけメモを取る。 予想外な話が出てきたが、オーバーストの原因にはかなり近い内容だと感じていた。 「ちなみに、それを見たのはいつごろですか?」 「んと、一週間前くらいですかね」 (意外と最近だな・・・) その質問を最後に、龍騎は一礼して明の家を去った。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加