呪われし兄妹編

4/9

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
最初に魔法を持った人間が発見されたのは約30年前。 当時18歳だった男の子が無意識のうちに魔法を使ってしまい、家族もろとも家を破壊した事件がきっかけだった。 それ以後、日本国内では魔法を持った人間の存在、また発生が多数見つけられたので、急遽政府は魔法研究支部を設立した。 研究所は各地に設置され、そのうちの一つが意霧が監督をする幽玄なのだ。 現在に至るまでの研究の中で、魔法に対していくつか分かったことがある。 まずこれは日本国内のみにしか起きていない。 魔法を開花させた人間は全員が高校生であること。 また魔法を持つ原因は何か一つの感情が強く沸き起こり、自身で抑えようもないぐらいの増幅をした場合、その感情に何かしら関する魔法を得る。 研究所の目的は二つあり、一つはもちろんまだまだ分からないことの多い魔法に対する法則を見出すこと。 そしてもう一つは魔法発生の原因となった感情を割り出し、その感情を鎮めてあげることで魔法を喪失させ、普通の生活へと戻させることである。 ただ、すでに高校生でなくなった魔法使いは魔法を失うことができなくなることも分かっている。 その例が意霧である。 彼は現在26歳であり、高校生時代に適当な治療を受けられなかったため、喪失することなく高校生を卒業してしまった。 そんな大人は日常に戻ることはできず、どこの職場にも嫌煙されてしまう。 それを魔法研究支部が引き上げ、自身の魔法を研究の補助に使うように指名する形で雇っている。 「ま、そんなのは建て前で、魔法使いが魔法で悪さをしないように国家が監視したいってだけなんでしょうけど」 事件が起きたという目的地を目指してる途中、今なお奈々華はふてくされていた。 「仕方ないだろ、普通の人が魔法使いに良い印象を持ってないんだから」 魔法がきっかけで事件が起こることは珍しくない。 そのため一般人から魔法使いは嫌われている。 「それに、俺たちはもう普通には戻れない」 「分かってる、私たちが生きていくには『魔法探偵』をするしかないってことはね」 龍騎や奈々華も自身に魔法が宿っていることを自覚したのは事件を起こして確保された時なのだ。 ただ二人は普通の魔法使いではない。 それこそ二人が『呪われし兄妹』と並び称される理由である。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加